コラム

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日本の医療水準②

2023.08.16

皆様こんにちは、大阪うめだ鼠径ヘルニアMIDSクリニックです。

本日は日本医療の紹介の第2回です。

 

日本の医療費についてお話しようと思います。

 

1.対GDP比

2018年、日本の保険医療支出は約60兆円、対GDP比10.7%でした。

(コロナ期間は対策費用や受診控えなどの影響があるので2018年のデータを利用しました)

医療費を直接反映しているのは国民医療費であり、病気になり診療を受ける際に生じる費用です。

2018年の国民医療費は約44兆円と対GDP比7.9%でした。

高齢化が進むにつれ、国民医療費は増加します。

H22年までは右肩上がりで増加していましたが、H23年以降はほぼ横ばいの状態です。

国際比較するとどうなるだろうか。

OECD加盟36ヵ国中6位であり、G7の中ではアメリカ、ドイツ、フランスよりも低いです。

 

2.自己負担割合

医療費は患者様の自己負担分と国の負担分に分けられます。

日本の場合、50%は保険料、38%は税金であり、自己負担は約12%となっています。

自己負担割合を国際比較しますと

OECD加盟36ヵ国中27位で、OECD平均15.4%より低い数字となっています。

ちなみにアメリカの患者自己負担割合は11.3%で29位でした←意外ですよね。

割合ではなく、絶対値(自己負担の金額)で見るとどうなるでしょうか。

日本の自己負担額は562.8ドルで、アメリカ1,235.3ドルより随分と低いです。

そう、アメリカは自己負担割合が低くても、医療費自体がすごい高いため、患者様の支払い額は高くなってしまいます。

 

3.先進医療を気軽に受けれるか

1と2では国と個人が支払う医療費について解説しました。

実際に医療費がとても低額なのはトルコやポーランド、コロンビアなどの国です。

しかし、これらの国の医療技術のレベルは高いとは言えないかもしれません。

大変な病気になった時に、実際に高度な医療を受けれるのか、は疑問です。

また、アメリカのような医療費自体がとても高額な国では、心臓や癌の手術のような高額の医療をそもそも国民が選択しないという可能性があります。

 

日本には高額医療費制度があります。これは、年齢や所得に応じ、1か月の支払額に上限を設け、それ以上は自己負担しなくて良い、という制度です。

他国には同等・類似の制度はあまり存在せず、日本独自の良い仕組みとして語られる事が多いです。

例えば人工弁置換術(心臓外科の手術)を受けた場合、入院~退院までで550万円ほどかかります。

このうち、3割が患者様の支払う金額になりますが、高額医療費制度を用いれば世帯年収770万円以内であれば、窓口での支払い額は10万円以下となります。

つまり、心臓や肝移植の手術のような非常に高額な医療でも、金銭面の負担は他国に比べて圧倒的に低いと言えます。

 

ちなみに、2020年の日本におけるA型大動脈解離に対する手術件数は8,561件でした。

2020年度人口1万人あたりで比較すると、日本は2位のオーストラリアの5倍の件数となっています。

 

さいごに

日本は皆保険制度と高額医療費制度により、低い医療費が実現し、誰でも最先端の治療を選択できるようになっています。

これはとても素晴らしい事であり、医学の発展にも一役買っていると思います。

ただ、少子化に伴って労働人口が減少しているため、この制度を現状のまま維持していくのは困難であることも見えてきました。

海外の制度も参考にしながら、最適な対応策を講じるべき時期は近づいてるかもしれません。

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