鼠径ヘルニアを疑ったらまずは受診いただくことをお勧めします。
その理由は、嵌頓がいつ発生するかわからないからです。
では、どのような症状が生じたら鼠径ヘルニアを疑えば良いのだろうか。
本日は鼠径ヘルニアの自己診断についてお話いたします。
鼠径ヘルニアの診断は視触診がメインで、その他の検査を補助的に組み合わせて行われます。
つまり、視て触るだけでおおよその見当がつくということです。
よく自己触診が推奨されている疾患として乳がんがあります。
同じように鼠径ヘルニアもご自身で触っていただくことで発見できることがあります。
私たちは鼠径ヘルニアを診察する機会が多いため、視触診の際に一定の判断基準を持っています。
しかし初めて鼠径ヘルニアを発症される方のほとんどは、経験がないので知らずに放置されている方も多いのではと思います。
そこで、鼠径ヘルニア視触診のポイントを可能な限りシンプルにまとめました。
①足の付け根の内側にしこりがあり、押したり、横になったりすると触らなくなる
②しこりが無くなった状態で立って動いていると再び触るようになる
この2点が確認されたものは鼠径ヘルニアである可能性が極めて高いです。
鼠径ヘルニアとその他の鼠径部の病変の最大の違いは、しこりが消失するということです。
立ったり、横になったりすることで数秒、数分の間に現れたり消えたりするという特徴は他の疾患ではまず見られません。
もちろんこの基準を満たさない方の中に鼠径ヘルニアが隠れていることもあります。
逆にこの基準を満たせば私はほぼ鼠径ヘルニアと確信することができます。
発見することで意識が変わり、実は日々悩んでいたあの症状の原因が鼠径ヘルニアだったということが分かるかもしれません。そして鼠径ヘルニアは治る病気です。
鼠径ヘルニアと確信が持てなくても問題ありません。少しでも気になることがあれば、いつでもご相談ください。