鼠径ヘルニアは足の付け根にできた筋膜の隙間から腹膜が皮下まで飛び出して出来た空間に、腸管や内臓脂肪などが飛び出す病気です。
身体の外からはしこりがあるように見え、押さえるとなくなるのが特徴と言えます。
鼠径ヘルニアは嵌頓した状態(嵌まり込んだ臓器が戻せなくなった状態)でも痛みが生じなければ、押さえてもなくならないしこりとして触知する場合があります。
特にこのようなときに鑑別になる疾患として脂肪腫があります。
脂肪腫は良性の腫瘍で幅広い年齢で見られます。脂肪の塊で、悪性化の心配もほとんどないといわれています。
お腹の中には通じていないので、押さえても消えることはありません。診察をすれば鼠径ヘルニアとの鑑別は容易です。
脂肪腫であれば急いで切除する必要はないです。
しかし、脂肪腫だと思って放置している方の中に鼠径ヘルニアが嵌頓した状態、あるいは鼠径ヘルニアが還納できないが血流障害はない状態の方がいます。
後者であれば緊急性はありませんが、前者であれば急いで治療すべきかもしれません。
最近診療させていただく中で、20代、30代の鼠径ヘルニアの方も多く、意外に若い方でも鼠径ヘルニアの方はいるのだなと思うようになりました。
足の付け根にしこりが触れる、足の付け根が膨らんでいる、違和感があるなど気になることがあれば一度調べておくのも良いかもしれませんね。