こんにちは、大阪うめだ鼠径ヘルニアMIDSクリニックです。
今回は、2024年8月にJAMA(米国医師会雑誌)に掲載された「直接経口抗凝固薬を服用している患者の周術期管理:レビュー」(原題:Perioperative Management of Patients Taking Direct Oral Anticoagulants: A Review)を基に、手術時のDOAC管理について解説いたします。
直接経口抗凝固薬(DOAC)とは?
DOAC(直接経口抗凝固薬)は、心房細動や深部静脈血栓症、肺塞栓症の治療や予防に使用される抗凝固薬の一種です。代表的な薬剤には以下のものがあります:
アピキサバン
リバーロキサバン
エドキサバン
ダビガトラン
これらの薬は、従来の抗凝固薬であるワルファリンに比べて、血液検査や食事制限が不要で、患者様の生活の質を向上させるメリットがあります。しかし、手術の際には適切な管理が必要です。
手術時のDOAC管理:計画的な手術の場合
DOACを服用している患者様が計画的に手術を受ける際は、出血と血栓のリスクを最小限に抑えるため、薬の中止と再開のタイミングが重要です。手術の規模やリスクに応じて、以下の対応が推奨されています。
1. 小規模な処置(歯科治療や皮膚の処置など)
DOACの服用を中止せずに処置を行えます。
2. 中程度の手術(胆のう手術、鼠径ヘルニア手術など)
手術の1日前にDOACを中止し、術後翌日に服用を再開します。
3. 大手術(がん手術など)
手術の2日前にDOACを中止し、術後2日後に服用を再開します。
このような管理を行うことで、手術中および術後の重篤な出血や血栓症を防ぐことができます。
緊急手術の場合の対応
緊急手術では、事前の準備が難しいため、より慎重な対応が必要です。
血液検査でDOACの薬剤濃度を測定し、残存効果を確認します。
必要に応じて、DOACの作用を中和する薬剤(特異的拮抗薬)を使用する場合があります。
血栓と出血リスクのバランスを見ながら適切に対応します。
まとめ:DOAC患者の手術は慎重な管理がカギ
DOACを服用している患者様が手術を受ける際は、手術の種類に応じた薬の中止と再開のタイミングが重要です。
特に緊急手術の場合は、速やかな判断と慎重な管理が求められます。
当院での取り組み
大阪うめだ鼠径ヘルニアMIDSクリニックでは、DOACを服用されている患者様にも安心して手術を受けていただけるよう、術前・術後の薬剤管理を徹底しております。
鼠径ヘルニア手術をお考えの方やDOACの管理にご不安がある方は、どうぞお気軽に当院までお問い合わせください。