そけいヘルニアの種類

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そけいヘルニアの種類

そけいヘルニアの種類

鼠径部に発生するヘルニアは、外鼠径ヘルニア、内鼠径ヘルニア、大腿ヘルニアの3種類があります。鼠径ヘルニアのうち腹壁の隙間がある場所が下腹壁動静脈より身体の正中側にあるものを内鼠径ヘルニア、下腹壁動静脈よりも外側にあるものを外鼠径ヘルニアと言います。これらは同時に起こることもあります。鼠径ヘルニアの手術ではこれら3つのヘルニアを同時に治療することが可能です。

外そけいヘルニア

最もオーソドックスな鼠径ヘルニアです。下腹壁動静脈の外側、内鼠径輪と呼ばれる場所から臓器が脱出します。胎生期に起きる精巣の下降や、子宮円靭帯の形成に伴い、腹膜が引き攣れて空間ができます。この腹膜の引き攣れは多くの場合は閉鎖して腹膜象状突起とよばれる索状物になりますが、開いたまま残ることがあります。開いたまま残った腹膜の引き攣れに臓器がはまり込む事で外鼠径ヘルニアが発症します。つまり生まれつき鼠径ヘルニアを持っている方がおられるということです。
鼠径ヘルニアは全般的に高齢者に多いですが、外鼠径ヘルニアは小児にも発症することがあります。

内そけいヘルニア

下腹壁動静脈の内側、鼠径管と呼ばれる構造のお腹側の壁が弱くなることで発症する鼠径ヘルニアです。外鼠径ヘルニアが生まれつきのものであるのに対して、内鼠径ヘルニアは加齢などに伴って発症することが多いです。

大腿ヘルニア

大腿とはいわゆる太もものことです。太ももに向かう血管を大腿動脈、大腿静脈と言います。これらの血管や神経が骨盤を超えて太ももに至る時に通過する部分を大腿輪と言います。この大腿輪から発生するヘルニアを大腿ヘルニアと言います。鼠径ヘルニアは8割以上が男性に発症しますが、大腿ヘルニアは女性に多い傾向があります。また鼠径ヘルニアに比べると飛び出す隙間が狭いため、嵌頓を起こしやすいという特徴もあります。

その他のヘルニア

閉鎖孔ヘルニア

閉鎖孔という骨盤の穴から臓器が脱出するヘルニアです。鼠径部のヘルニアに比べると体表から触知することが困難です。閉鎖孔には閉鎖神経がとおっており、閉鎖孔ヘルニアでは臓器の脱出によりこの神経を刺激されて下肢の痛みが出ることもあります。またヘルニア嵌頓を起こしやすいことも特徴と言えます。疑った場合にはCT検査などを行い、正確な診断を行うことが大切です。

臍ヘルニア

臍は臍動静脈が通っていた場所であり、筋肉に隙間があります。この隙間が大きいと臍部に臓器の脱出が起き、臍ヘルニアとなります。臍ヘルニアは生まれつきであることが多いです。

腹壁瘢痕ヘルニア

手術により腹壁に創を作ると、多くの場合は断面同士がくっついて治癒します。腹壁の成分のうち、皮膚と腹膜は再生してくっつきますが、筋肉や筋膜は瘢痕治癒と言い、線維組織などで断面がくっつきます。一部または全部の瘢痕治癒がうまく行かないと、筋肉に隙間ができ臓器が脱出して腹壁瘢痕ヘルニアとなります。

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